お知らせ
源湯の日替わり風呂が茶色く濁る日が2日ほどあった。もちろん絵具を使った後に絵筆を洗ったわけではなく、あるいは、誰かが誤ってお湯の中に大量のチョコレートを落としてしまい、それが溶けたわけでもない。コーヒーがお湯に染み込んでいるのである。浸かっているとコーヒーの香りがする。口に含んでみれば、多分コーヒーの味もする。腰痛が治るだとか、肌に良いコラーゲンが……なんて効能はおそらくないけれど、コーヒー好きにはたまらないコーヒー風呂だ。
KéFU stay&loungeには現在「銭湯プラン」なるものがあり、簡単にかいつまんで言うならば、「せっかくKéFUに来たんだから大きなお風呂に入りに行こうよ。近くに銭湯いっぱいあるんだからさ。」というプランだ。そして銭湯にまつわるプランをするならば、銭湯で何かイベントをしたい。KéFUのお客さんには銭湯の良さを知ってもらいたいし、銭湯のお客さんにはKéFUの良さを知ってもらいたい。そんな思いを源湯に伝えたところ、一緒にイベントをしようぜという話になりそんな経緯で、KéFUブレンドのコーヒー湯が生まれたのだ。
コーヒーの粉がお湯に浸けられた2日間、源湯のくつろぎスペースではKéFUによる出店イベントがあった。カフェからは3種類の味のクッキーとフリーで配るアイスコーヒー。あとはKéFUグッズ(銭湯でKéFUオリジナル入浴剤を売るのは少し攻めていると思う)などを少々持ってゆき、横ではレコードを回す。
お風呂上がりには冷たいビールが最も望ましいという人もいるかもしれないけれど、アイスコーヒーもなかなか悪くない。お湯で温められて熱を持った身体を体内から冷やしてくれる。さっぱりとした苦味が喉を流れていくの心地が良い。ここにクッキーもあるから、お風呂で整った後にもう1度整ってしまう。日曜日の夜は足つぼマッサージのお兄さんが来てくれるみたいだから、それと合わせると3度も整ってしまう。
足つぼマッサージのお兄さんにお話を聞いたり、常連さんと京都の銭湯はどこが良いなど教えてもらったり、源湯の上にあるあきよし堂に行ってあきよしお兄さんと映画についてお喋りしたり、KéFUに長期で滞在している方が遊びに来てくれたはずなのにいつの間にか一緒に接客をしていたり、気がつけばテーブルの上の売り物をどけてボードゲームが始まったり、夜も遅い源湯にて、西陣界隈の仲の良い人が集まって身内の宴会のように盛り上がったり……。くつろぎスペースという名前に相応しく、お客よりもスタッフがくつろいでいるような、不思議なイベントがあったというはここだけの話。
Writing:大成海